第2章: 基本的な構文とコンセプト

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この章では、C++の基本的な構文と重要なコンセプトについて学びます。C++は、厳密な型付けが行われる静的型付け言語であり、C言語をベースにした構文を持っています。この章では、C++のプログラムの基本的な構造、変数の宣言、データ型、定数、演算子など、プログラミングの基礎について学びます。

目次

2.1 C++プログラムの基本構造

C++プログラムは、ヘッダーファイルのインクルード、メイン関数、そしてその他のコードブロックで構成されます。C++のプログラムはmain()関数から始まり、コードは上から下へ順番に実行されます。

基本構造

#include <iostream>  // ヘッダーファイルのインクルード

int main() {
    std::cout << "Hello, World!" << std::endl;  // 標準出力
    return 0;  // 正常終了を示す
}
  • #include <iostream>は、標準入出力を扱うためのヘッダーファイルです。
  • main()関数はC++プログラムのエントリーポイントです。

2.2 コメントの書き方とコードの可読性

C++では、コードにコメントを追加して、そのコードの意図や動作を説明することができます。コメントはプログラムの実行に影響を与えず、コードの可読性を向上させます。

コメントの書き方

  • 1行コメント: //で始めると、その行はコメントとして扱われます。
// これは1行コメントです
  • 複数行コメント: /**/で囲むことで、複数行のコメントを記述できます。
/*
これは
複数行のコメントです
*/

2.3 データ型と変数の宣言、初期化

C++では、変数を使ってデータを格納します。変数はデータ型を持ち、宣言と同時に初期化することが推奨されます。

主要なデータ型

データ型説明
int整数int age = 30;
float小数点数float pi = 3.14;
double倍精度小数点数double g = 9.8;
char単一の文字char grade = 'A';
bool真偽値 (true または false)bool isAdult = true;
string文字列(C++標準ライブラリ)std::string name = "Alice";

変数の宣言と初期化

int age = 25;           // 整数型の変数
double temperature = 36.5;  // 浮動小数点数型の変数
bool isStudent = false; // ブール型の変数
  • 変数は、最初にデータ型を指定してから名前をつけ、値を代入して初期化します。
  • std::stringは標準ライブラリのstringクラスを使った文字列型です。

2.4 定数とリテラル

C++では、定数を使って一度代入したら変更できない変数を定義できます。また、数値や文字列などのリテラルを直接コード内に書くことができます。

定数の宣言

const double PI = 3.14159;  // 定数の宣言
  • constキーワードを使って定数を宣言します。定数はプログラムの実行中に変更できません。

リテラル

  • 整数リテラル: 42
  • 浮動小数点リテラル: 3.14
  • 文字リテラル: 'A'
  • 文字列リテラル: "Hello, World!"

2.5 演算子

C++には、数値や変数に対して演算を行うための演算子があります。

主な演算子

演算子説明
+加算a + b
-減算a - b
*乗算a * b
/除算a / b
%剰余a % b
=代入a = 5
==等しいか比較a == b
!=等しくないか比較a != b
>より大きいa > b
<より小さいa < b
&&論理ANDa && b
``

演算の例

int a = 10;
int b = 5;

int sum = a + b;  // 加算 → 15
int diff = a - b; // 減算 → 5
int prod = a * b; // 乗算 → 50
int quot = a / b; // 除算 → 2
int rem = a % b;  // 剰余 → 0

2.6 型変換

C++では、異なるデータ型の値を相互に変換することができます。これを型変換と呼びます。

暗黙の型変換

int a = 42;
double b = a;  // intからdoubleへの暗黙の型変換

明示的な型変換(キャスト)

double pi = 3.14159;
int truncatedPi = (int)pi;  // doubleからintへのキャスト

まとめ

この章では、C++の基本的な構文やコンセプトについて学びました。これらの基礎を理解することで、C++プログラムの記述が可能になります。次の章では、C++の演算子や式の詳細について学んでいきます。

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