第1章: Pythonの導入

1-Introduction-Python

Pythonは、そのシンプルな文法と強力な機能によって、プログラミング初心者から専門家まで幅広く利用されているプログラミング言語です。この章では、Pythonの歴史や用途、開発環境のセットアップ方法、そして最初のPythonプログラム「Hello, World!」を実行するまでの流れを解説します。

目次

1.1 Pythonの歴史と用途

Pythonは、1991年にGuido van Rossumによって発表されました。Pythonは、コードの読みやすさと開発の効率を重視して設計された汎用プログラミング言語です。多くの分野で利用され、特に以下のような用途でよく使われます。

  • Web開発:DjangoやFlaskといったフレームワークを使用して、Webアプリケーションを構築。
  • データサイエンス:NumPy、Pandas、Matplotlib、Scikit-learnなどのライブラリを使って、データの分析、可視化、機械学習の実装。
  • 自動化:日常的なタスクや大規模なシステムの管理作業を自動化するスクリプトを作成。
  • AIと機械学習:TensorFlowやPyTorchなどのライブラリを使った人工知能や機械学習モデルの実装。
  • ゲーム開発:Pygameなどのライブラリを用いて、シンプルなゲームの開発が可能。

Pythonは特にそのシンプルな文法と広範なライブラリによって、初心者にも優しく、開発効率が非常に高いのが特徴です。

1.2 Python 2とPython 3の違い

Pythonには主に2つのバージョンが存在します:Python 2系とPython 3系。Python 2は過去に広く使われていましたが、公式サポートが2020年に終了したため、現在はPython 3が主流です。Python 3には多くの改良点があり、基本的にPython 3を使用することが推奨されます。

  • Python 2
    • 歴史的に長く使われていたバージョン。
    • 一部の古いライブラリやプロジェクトがPython 2に依存していますが、サポートが終了しています。
  • Python 3
    • 2008年にリリースされた現在の標準バージョン。
    • より洗練された機能が追加され、パフォーマンスやセキュリティが向上。
    • 新しいプロジェクトや学習はすべてPython 3を使用します。

1.3 開発環境のセットアップ

Pythonの開発環境をセットアップするためには、Pythonのインストールとエディタの設定が必要です。最も簡単に始められる方法は、公式のPythonインストーラを使用してPythonをインストールすることです。

Pythonのインストール手順

  1. Pythonのダウンロード: Python公式サイトから最新のPythonバージョンをダウンロードします。
    https://www.python.org/downloads/
  2. インストール: ダウンロードしたインストーラを実行し、「Add Python to PATH」というオプションにチェックを入れてインストールします。
  3. インストール確認: インストールが完了したら、コマンドプロンプトやターミナルで次のコマンドを実行して、正しくインストールされたか確認します。
python --version
  1. 正しくインストールされていれば、バージョン番号が表示されます。

エディタのセットアップ

Pythonのコードを書くためには、コードエディタが必要です。人気のエディタとしては以下のものがあります。

  • Visual Studio Code (VSCode)
    • Microsoftが提供する無料のエディタ。Python拡張機能をインストールすることで、Python開発に最適化できます。
  • PyCharm
    • JetBrainsが提供する統合開発環境(IDE)。Python専用の強力なツールが揃っています。
  • Jupyter Notebook
    • 特にデータサイエンスや機械学習でよく使用されるインタラクティブな環境です。

1.4 最初のプログラム作成: “Hello, World!”の実行

Pythonでの最初のプログラムは、伝統的に「Hello, World!」という文字列を表示するものです。非常にシンプルなプログラムですが、Pythonの基本的な動作を理解するための第一歩です。

コード例:Hello, World!

以下が最も基本的なPythonプログラムです。

print("Hello, World!")

プログラムの実行方法

  1. エディタを開く: 好みのエディタ(例:VSCodeやPyCharm)で新しいPythonファイル(例:hello.py)を作成します。
  2. コードの入力: 上記のコードをファイルに入力します。
  3. プログラムの実行: コマンドプロンプトやターミナルを開き、次のコマンドでプログラムを実行します。
python hello.py
  1. コンソールに「Hello, World!」と表示されれば、プログラムは正しく実行されています。

インタラクティブモードでの実行

Pythonにはインタラクティブモード(REPL)もあり、コマンドラインで直接Pythonコードを実行することができます。ターミナルでpythonまたはpython3と入力してインタラクティブモードを起動し、直接コードを入力して結果を確認することができます。

python
>>> print("Hello, World!")
Hello, World!

これで、Pythonの開発環境のセットアップと最初のプログラムの実行ができるようになりました。次の章では、Pythonの基本的な文法や構造についてさらに詳しく説明していきます。

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